日本蚕糸学雑誌
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53 巻, 3 号
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  • 勝野 貞哉
    1984 年 53 巻 3 号 p. 187-190
    発行日: 1984/06/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    発生初期卵の過冷却処理によって得られた4倍体と, これを用いて作出した3倍体の成虫について, 複眼表面中央部の小眼面を微分干渉顕微鏡によって観察し, その大きさを2倍体のそれと比較した。その結果. 4倍体, 3倍体および2倍体ともに雌雄間で差異はみられなかった。4倍体の小眼面の大きさは, 3倍体および2倍体のそれに比べて大きかった。このことは雌雄ともに同一の傾向がみられた。3倍体の小眼面の大きさは2倍体のそれに比べて雌では大きかったが, 雄では大きかった場合と差異がみられなかった場合とがあった。
  • 久野 勝治
    1984 年 53 巻 3 号 p. 191-197
    発行日: 1984/06/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    カドミウム, 銅および亜鉛のそれぞれ10-5~10-3Mで処理して出現した奇形根の細胞組織的性状を観察した。カドミウム処理根では先端部の肥大などのほか皮層細胞の収縮, 異常肥大, 中心柱細胞の圧縮, 壊死などが高濃度処理区でみとめられた。銅処理根では各組織の細胞分裂が多方向で阻害された。すなわち, 組織形成の乱れ, 組織のキメラ化, 組織間または組織内の生長の不均衡, 核の変形, 組織間の剥離, さらに進んで膜系の崩壊による核質の凝集が引き起こされていた。亜鉛処理根では皮層の局部的な肥大現象以外奇形現象は高濃度処理区でもほとんど認められなかった。異常現象の発生を根の区域別にみると根端付近に集中していた。
  • 久野 勝治
    1984 年 53 巻 3 号 p. 198-204
    発行日: 1984/06/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    過剰重金属の桑の生育に対する障害性のメカニズムに関する知見を得るため, カドミウム, 銅およびニッケルの桑葉の光合成速度と形態形成におよぼす影響について研究を行った。各重金属は高濃度で処理開始後に新たに形成された葉の乾量増加を著しく阻害した。銅は葉面積に対して強い抑制効果を示した。カドミウム, 銅およびニッケルは高濃度で光合成速度を著しく低下させた。クロロシスはカドミウムでは中位葉, ニッケルは中下位葉に生じ, 桑葉中のクロロフィルもそれらの高濃度で低下していた。気孔形成および維管束の発育は高濃度の銅とカドミウムで抑制されていた。しかし, 葉肉の肥大生長はニッケルで抑制されていた。
  • 無菌蚕におけるウイルス病の感染抵抗性に関する研究 II
    松原 藤好, 呉 友良, 森 肇, 大頭 肇
    1984 年 53 巻 3 号 p. 205-209
    発行日: 1984/06/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    ウイルスを含む微生物汚染の全くない無菌蚕を用い5℃, 24時間の低温処理によってどの程度ウイルス感受性が高まるかについて発育時期別に検討を行った。1) 接種するウイルスは核多角体および核多角体をアルカリで溶解した後直ちにミリポア・フィルター (0.45μm) で濾過したウイルスを用いた。2) 蟻蚕においては5℃, 24時間の低温処理でウイルス感受性の変化を示さないが, 2齢起蚕からはウイルス感受性は齢が進むに伴い著しく増大した。3) 5齢起蚕に5℃, 24時間の低温処理を施した後, 核多角体を経口接種した場合には, 接種後6時間後には体液中に核多角体病ウイルスの活性が認められた。
  • 鷲田 純彦
    1984 年 53 巻 3 号 p. 210-215
    発行日: 1984/06/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    全齢人工飼料育において, 4齢期に投与した幼若ホルモン類緑化合物 (JHA) が, 5齢期の成長, 化蛹ならびに繭重等に及ぼす影響を調査した。結果は10μg/1頭のJHAを4齢起蚕後36, 48, 60時間目に塗布した場合, 4齢の経過延長は僅かであったが, 5齢の経過は2~4日延長され, 盛蚕体重, 繭重ともに著しい増加を示した。またこの傾向は投与時期が早い程顕著であったが, 効果が顕著な時期ほど幼虫-蛹中間体など異常蚕の発現が多かった。つぎに塗布量を1, 5, 10, 25μg/1頭とかえた場合も高濃度ほど効果は顕著であったが, 異常蚕の発現は多く, 正常な化蛹数は減少した。しかしこのように4齢期におけるJHAの投与が, 5齢期の経過を延長させ, 繭重を増大させることは, 適当な散布時期, 散布量を追究することによって実用的に利用し得るものと思われる。
  • 鈴木 健夫, 河野 清
    1984 年 53 巻 3 号 p. 216-221
    発行日: 1984/06/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    クワの生長期の窒素栄養と代謝に占めるアスパラギンの重要性について明らかにするため, 春切り後伸長したクワ枝条を切除して得られる溢泌液と, 最大光葉を含む上位葉3枚の遊離アミノ酸を, カラヤマグワ系8品種, ヤマグワ系8品種, ログワ系10品種について検討した。5月と8月に得られる溢泌液はいずれの品種においてもアスパラギンの含量が最も高く, この他グルタミン, アスパラギン酸, グルタミン酸が含まれた。5月と8月の生長期の上位葉でいずれの品種においても最も含有量の高かったのはアスパラギンで, この他プロリン, グルタミン, グルタミン酸, ピペコリン酸などの含有量が高かったが, これらはいずれも10月下旬には減少していた。これらの結果から, わが国に存在するカラヤマグワ系, ヤマグワ系, ログワ系のクワ属3種の生長期の窒素の転流代謝に占めるアスパラギンの重要性は, これらクワ属3種に共通な特徴であると考えられた。
  • 重金属が無菌蚕に及ぼす影響 VIII
    増井 博之, 松原 藤好
    1984 年 53 巻 3 号 p. 222-225
    発行日: 1984/06/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    人工飼料を用いて無菌飼育した蚕および蟻蚕から5齢6日目まで人工飼料にCo 50ppmを混合し連続投与した場合の蚕体内各組織, 器官別のCoの分布量を定量すると同時に, 糞よりCoの排泄量および蛹への移行量などについて調べた。その結果, 次の事実が明らかとなった。1) 桑葉粉末36%含む普通の人工飼料で蚕を飼育した場合および蟻蚕から5齢6日目までCo 50ppmを混合した人工飼料を連続投与した場合, 蚕体内各組織・器官別にCoの分布量を組織・器官乾物g当たりおよび1頭当たりで求めた。2) Co 50ppmを連続投与した場合は投与停止直後の糞にCo排出量が最も多く, 時間の経過とともに減少し48時間までに殆んど排泄された。3) 人工飼料で飼育した蚕では蛹中に3.14μgのCoが分布し, 幼虫期にCo 50ppmを連続投与しても蛹へのCoの分布量の増加は認められなかった。
  • 片方 陽太郎, 菊地 愛子, 志村 憲助
    1984 年 53 巻 3 号 p. 226-236
    発行日: 1984/06/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    家蚕後部絹糸腺フィブロインの large subunit をα-キモトリプシン分解して得た上清 (非結晶部ペプチド, Cs) を Sephadex G-15のゲルロ過に供した。その結果, 4画分 (S-I~IV) に分画され, 量比はそれぞれ32, 4, 46, 17%であった。S-I画分をさらにDEAE-Sephadex A-25のクロマトで11個に分離し, アミノ酸分析と末端分析を行った。これらのペプチドのアミノ酸組成は結晶部ベプチド (Cp) と基本的に類似していたが, 末端分析から計算した分子量は約2000~2600とほぼ半分であった。この様な性質を有する一群のベブチドがCs画分より分離されたのは初めてである。S-II~IVの各画分は Dowex-1わよびペーパークロマトで分離精製した。アミノ酸残基数にしてそれぞれ8~15, 8~10, 2~6個のベプチドからなっていた。以上の結果より, 我々は従来のCpとCsの概念より, フィブロイン large subunit に全体にわたってCp様の配列 (Cp+S-I=約69.4%) からなっているという考え方が, より論理的であると考えている。
  • 土井 良宏, 宮 慶一郎, 木原 始
    1984 年 53 巻 3 号 p. 237-240
    発行日: 1984/06/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    劣性の致死作用を伴い, ヘテロ個体が正常蚕にみられる第5腹節に加えて第6腹節にも過剰に星紋を発現する二重星紋遺伝子Dusの連関分析を行った。連関検索の交雑後代においてヘテロ個体での過剰星紋発現が不完全となり例外表型個体を多発したものの, Dus遺伝子は第10連関群に属することを確認した。次でdw-k, w-2両遺伝子を基準に用いて3点実験を行い, Dus遺伝子の座位を第10連関群3.9と決定した。
  • 榎島 守利, 山本 俊雄
    1984 年 53 巻 3 号 p. 241-244
    発行日: 1984/06/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    K座位以外の遺伝的背景が支137号と同一になるよう育成した支137-K系統 (K/+) を用いて, 人工飼料育した場合におけるK遺伝子の量的諸形質に及ぼす影響について追究した。支137-K×支137号の相反交配で分離するK/+と+/+および支137-Kの相互交配により分離するK/K, K/+, +/+について比較した結果, K遺伝子の影響は, 蛹重>繭重>繭層歩合>消化量>食下量>消化率>繭層重>飼料利用効率の順に現われた。このうち繭重, 蛹重, 食下量, 消化量, 消化率では, K/K>K/+>+/+の関係が顕著であった。一方, 繭層重ではK/KK/+の差異はほとんどなく, +/+が僅かに軽かった。さらに繭層歩合では, +/+>K/+>K/Kの関係が明瞭であり, 飼料利用効率では, +/+≒K/+>K/Kの傾向が認められたが, これらの関係はすべて人工飼料育においてK遣伝子の繭層重に対する影響が食下重, 繭重などに及ぼす影響とは異なることに原因すると推定した。
  • 河上 清, 三国 辰男
    1984 年 53 巻 3 号 p. 245-249
    発行日: 1984/06/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    人工飼料育蚕の桑葉育への移行後における硬化病防除対策を明らかにするため, 人工飼料育蚕の硬化病菌に対する感受性を桑葉育蚕のそれと比較した。供試した人工飼料は市販品の2種類で, 供試菌は Beauveria bassiana, Metarhizium anisopliae および Nomuraea rileyi である。人工飼料で飼育された蚕児の3齢起蚕または4齢起蚕に硬化病菌を接種, または4齢起蚕に注射接種して, 病死蚕数の多少から感受性の程度を調査した。なお他に, 人工飼料育蚕および桑葉育蚕からの採取体液中におけるスライド培養での分生子の発芽の良否についても調査した。これらいずれの調査においても, 人工飼料育蚕の硬化病菌に対する感受性は, 桑葉育蚕のそれと同様であった。したがって, 硬化病防除対策は, 従来通りの方法で行う必要がある。
  • 佐藤 光政, 塚本 雅俊
    1984 年 53 巻 3 号 p. 251-252
    発行日: 1984/06/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 木村 敬助
    1984 年 53 巻 3 号 p. 253-254
    発行日: 1984/06/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 53 巻 3 号 p. 255
    発行日: 1984/06/29
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    カイコ前胸腺の蛹化にともなう微細構造の変化
    家蚕幼虫脱皮のPTTH, Ecdysteroids, JHによる統御
  • 1984 年 53 巻 3 号 p. 282a
    発行日: 1984年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1984 年 53 巻 3 号 p. 282b
    発行日: 1984年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
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