1984 年 53 巻 3 号 p. 198-204
過剰重金属の桑の生育に対する障害性のメカニズムに関する知見を得るため, カドミウム, 銅およびニッケルの桑葉の光合成速度と形態形成におよぼす影響について研究を行った。各重金属は高濃度で処理開始後に新たに形成された葉の乾量増加を著しく阻害した。銅は葉面積に対して強い抑制効果を示した。カドミウム, 銅およびニッケルは高濃度で光合成速度を著しく低下させた。クロロシスはカドミウムでは中位葉, ニッケルは中下位葉に生じ, 桑葉中のクロロフィルもそれらの高濃度で低下していた。気孔形成および維管束の発育は高濃度の銅とカドミウムで抑制されていた。しかし, 葉肉の肥大生長はニッケルで抑制されていた。