日本蚕糸学雑誌
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幼若ホルモン類縁化合物の4齢期投与による蚕の成長と繭重への影響
鷲田 純彦
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1984 年 53 巻 3 号 p. 210-215

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抄録

全齢人工飼料育において, 4齢期に投与した幼若ホルモン類緑化合物 (JHA) が, 5齢期の成長, 化蛹ならびに繭重等に及ぼす影響を調査した。結果は10μg/1頭のJHAを4齢起蚕後36, 48, 60時間目に塗布した場合, 4齢の経過延長は僅かであったが, 5齢の経過は2~4日延長され, 盛蚕体重, 繭重ともに著しい増加を示した。またこの傾向は投与時期が早い程顕著であったが, 効果が顕著な時期ほど幼虫-蛹中間体など異常蚕の発現が多かった。つぎに塗布量を1, 5, 10, 25μg/1頭とかえた場合も高濃度ほど効果は顕著であったが, 異常蚕の発現は多く, 正常な化蛹数は減少した。しかしこのように4齢期におけるJHAの投与が, 5齢期の経過を延長させ, 繭重を増大させることは, 適当な散布時期, 散布量を追究することによって実用的に利用し得るものと思われる。

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