日本蚕糸学雑誌
Online ISSN : 1884-796X
Print ISSN : 0037-2455
ISSN-L : 0037-2455
ニッケルの蚕体内各組織・器官別分布量, 排泄量および蛹中の量
重金属が無菌蚕に及ぼす影響 IX
増井 博之松原 藤好
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 53 巻 4 号 p. 331-334

詳細
抄録

人工飼料で無菌飼育した蚕 (無菌蚕) および無菌蚕にNi 250ppmを蟻蚕から5齢6日目まで連続投与した場合の蚕体内におけるNiの分布について調べ, 生体内各組織・器官別に乾物g当りおよび1頭当りの分布量を明らかにした。つぎに糞中のNiの排泄については蟻蚕から5齢2日目までNi 250ppmを連続投与し投与停止直後から24時間毎に96時間まで調べたところ投与停止直後は排泄量が最も多く, 無投与区の約24倍となり, 48時間では対照と殆ど変わらなかった。したがってNi 250ppmを連続経口投与した場合, 投与後48時間までにすべて排泄された。無菌蚕を上蔟, 営繭させた化蛹2日目の蛹中のNi量は4.57μgであり, 幼虫期にNi 250ppmを投与した後上蔟, 営繭させた場合の蛹中のNi量は6.17μgであり, 対照の無投与区より僅かに増加した。

著者関連情報
© 社団法人日本蚕糸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top