抄録
カイコの幼虫と蛹のクチクラの形成における構造的な差異を明らかにするため, 幼虫脱皮期および幼虫から蛹への変態期における皮膚を電顕的に比較観察した。幼虫脱皮期では, エピクチクラの形成時からすでに乳嘴突起や微皺の形成のために微絨毛や Pore canal が関与し多くの突起が形成される。幼虫-蛹変態期には, クチクラ形成当初からその表面には起伏が少く, 微絨毛は活発な形状を示すが Pore canal は明らかでない。隣接する真皮細胞の境界部には蛹のクチクラ表面にみられる多角形紋に対応する隆起が形成される。以上の差異はクチクラ形成後の蚕体の成長の違いによるものと考えられる。