抄録
細胞質多角体病ウイルス (CPV) 感染蚕児における血液および中腸皮膜中の糖およびグリコーゲン濃度の毎日の変動を, 健康蚕, 給桑制限蚕, 絶食蚕のそれらと比較した。CPV感染蚕児では, 血糖量は病勢が進むにつれて対照蚕に比べて急激に減少したが, そのパターンは絶食蚕のそれと類似していた。しかし, 中腸の糖濃度の変動パターンは, ほぼ対照蚕や絶食蚕のそれと同様であった。一方, 中腸のグリコーゲン量は, CPV感染蚕では病勢進行の過程中常に対照蚕や絶食蚕のそれに比べて有意に増大していた。このことから, 中腸皮膜でのグリコーゲン代謝は, CPVの増殖過程とより密接に関連した代謝系であることが判明した。