1984 年 53 巻 5 号 p. 409-413
福島県の桑園においてクワに寄生するハマキガ類の種類を調査したとこち, ヒメハマキガ亜科に属する既知のクワハマキおよびクワヒメハマキの他に, ハマキガ亜科に属するトビハマキ, リンゴモンハマキ, ミダレカクモンハマキ, アトボシハマキおよびリンゴコカクモンハマキの5種類が得られた。これらのうち最も個体数の多かったのはリンゴコカクモンハマキであった。リンゴコカクモンハマキおよびリンゴモンハマキについてフェロモントラップによる雄成虫の誘殺消長を調査した結果, リンゴコカクモンハマキは平坦地の桑園で, リンゴモンハマキは山間地の桑園で多く誘殺された. リンゴコカクモンハマキ幼虫のクワにおける越冬部位は大半が枝であった。越冬巣網は冬芽の内側に形成されていたが, 一部は枝の裂目にもみられた。越冬密度は無収穫の桑園で高く, 晩秋蚕期に中間伐採した桑園で低かった。