日本蚕糸学雑誌
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家蚕卵の休眠過程に伴う卵特異蛋白質とビテリンの変動
古沢 寿治イントラシット レスリーS.
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1987 年 56 巻 6 号 p. 467-473

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抄録

家蚕卵の休眠状態と卵特異蛋白質 (ESP) およびビテリン (Vtn) との関連を追求するため, 産卵48時間後に5℃と1℃に保護し, 休眠過程に伴う蛋白質パターンの変動をSDS-ポリアクリルアミドケル電気泳動法によって調べた。その結果, 主として7本のバンドがみられ, このうち, 休眠覚醒に伴い顕著に変動したバンドはESP由来蛋白質 (分子量55kDa) とVtn由来蛋白質 (分子量46kDa) であった。すなわち, 5℃保護卵では産卵40日後から, また, 1℃保護卵では産卵160日後から休眠覚醒が始まった。いずれの保護卵でも覚醒期に対応して, 産卵直後から増加した55kDa ESPが減少を始め, 46kDa Vtnが増加した。さらに, 5℃保護卵を産卵140日後に25℃へ移したところ, 55kDa ESPが胚発育に伴って再び増加した。これらの結果から, 55kDa ESPと46kDa Vtnの変動は, 休眠状態と密接に関連していることが判明した。

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