日本蚕糸学雑誌
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絹紡複合糸における生糸の精練効果
松本 陽一土屋 幾雄久間 秀彦
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1987 年 56 巻 6 号 p. 483-488

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抄録

生糸/絹コアスパン糸およびそれから作成した織物において, 精練による生糸のセリシン量の減少が糸の引張強伸度および織物の圧縮特性にいかなる影響を及ぼすかを検討した。
生糸の精練はセリシン量を減少させるとともに, 生糸をバーブ (繭糸) へ, さらに繭糸をブラン (絹糸) へ分繊させる効果をもっているので, コアフィラメント糸の構成本数を増加させる。したがって, コアスパン糸における精練効果はコアフィラメント糸の剛軟度の低下と摩擦係数の増加であり, またコア層とスキン層のなじみ易さの増加であると考えられる。その結果, 生糸/絹コアスパン糸の引張強伸度は練減率の増加とともに増加すること, そしてこれらの織物の圧縮特性は練減率10%から増加することが明らかとなり, 絹紡織物の腰の弱さをいくぶん改善できると考えられた。

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© 社団法人日本蚕糸学会
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