1987 年 56 巻 6 号 p. 489-493
γ線により前照射処理した絹糸を素材にして製織した“ななこ”絹織物の剛軟度, 防しわ率などの力学的特性を中心に検討した。加工糸をよこ糸に用いることにより, 織物見掛け密度, 絹織物の厚さ, たて糸の織縮み率が増加した。剛軟度, 防しわ率はたて糸方向よりも, よこ糸方向で高い値を示した。加工絹糸を用いると, たて糸・よこ糸間の接触状態が疎となり, 絹織物の剛軟度, 防しわ率がともに増加することから, γ線照射処理に基づくグラフト加工により絹織物の実用性能を向上させ得る可能性が示唆された。