日本蚕糸学雑誌
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ヤママユガの幼虫皮膚の超微形態
田中 一行小林 勝
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1991 年 60 巻 1 号 p. 48-54

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抄録

ヤママユが幼虫皮膚の超微形態について, 3齢盛食期と4齢起蚕の間で比較し, 次の結果を得た。微絨毛, 細胞陥入および細胞内小器官 (特にゴルジ体, 粗面小胞体) などの発達は, 4齢起蚕の方が明らかに優り, この時期におけるクチクラの形成がきわめて活発であることが示唆された。また, 真皮細胞の細胞質には明調な顆粒 (1.0~1.5μm) が認められた。この顆粒の分布密度は3齢盛食期よりも, 4齢起蚕の方が明らかに高く, しかも後者は顆粒の基質に繊維状の物質を含有しているなど, 両者の間に相違が認められた。上記の顆粒とは別に, 4齢起蚕では微絨毛の基部に, 多くの小胞を内蔵した嚢状体が認められた。一方クチクラについては, 両時期の間で, 厚さに相違がみられたほか, 4齢起蚕のクチクラの外面に, 発育に伴うクチクラの成長と密接な関係にあると思われる皺縮が認められた。また, 孔管はエンドクチクラの部分にのみ明瞭に観察された。

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