日本蚕糸学雑誌
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ネットロウシルク使い織物の風合い評価と性能評価
上石 洋一青木 軍次
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1994 年 63 巻 4 号 p. 284-292

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抄録

ネッロウシルクを用いた織物や吸水性に優れるポリエステルを用いた織物, さらに染色堅ろう度試験添付白布の絹 (羽二重) について, KES-Fを用いて力学的特性を測定した。ネッロウシルク織物の引張り, 曲げ, 剪断の剛さは小さく, 表面粗さも小さかった。さらに, 各測定におけるレジリエンスも小さく, ネットロウシルク糸の持つ性質である嵩高さや, 構成している単繊維が一軸に揃っていないことに起因するものである。風合い値を計算すると, SHINAYAKASAに優れるとともに, 他の織物と比較すると婦人外衣用薄地の標準的な値を示しており, 風合いのバランスが良い織物である。ネットロウシルク織物の剛軟度は小さく, また防しわ性に優れる織物であることが分かり, 風合いの結果も考えると優れた衣料素材となることが期待できる。ピルを発生しやすい欠点もあるが, 撚り加工や併用する糸の選択などによってネッロウシルクの特徴

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