日本蚕糸学雑誌
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カイコ単離中腸細胞内のカルシウムイオン濃度に及ぼすフッ化ナトリウムの影響
孟 智啓廬 変愚伴野 豊古賀 克己河口 豊
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1994 年 63 巻 4 号 p. 310-314

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抄録

5齢期カイコ中腸細胞中の遊離Ca2+濃度をfura-2/AMを添加した細胞培養系を用いて測定したところ, 592nMという値が得られた。同細胞培養系にNaFを負荷すると, この値は急速に低下し, 90秒で半分となった。NaFによる低下は培地中に予め細胞膜輸送の阻害剤 verapamil を加えておくことにより完全に阻止された。このことから, NaFによるCa2+濃度の低下は細胞外へのCa2+輸送の促進が原因であると結論した。この知見はフッ素化合物を含む排煙による養蚕被害の原因追求と保護の観点から重要であると思われる。

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