日本蚕糸学雑誌
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絶食処理期間が家蚕4倍体雄の妊性獲得に及ぼす影響
佐原 健田中 陽子山田 恭裕斉藤 寛中田 徹浅野 真一郎伴戸 久徳川村 直子飯塚 敏彦
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1997 年 66 巻 3 号 p. 207-211

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抄録

低温処理により誘起した家蚕4倍体雄は本来不妊である。5齢60時間目における4倍体雄に対する絶食処理が妊性の獲得に有効であるので、5齢60時間を開始点とした様々な長さの (1~72時間) 絶食処理を行い、妊性獲得のための最も効果的な絶食処理時間を明らかにすることを目的とした。
処理個体の生存率は絶食時間の長さに必ずしも影響されず、絶食4倍体蚕の受精率向上は12時間以上の処理区において認められ、15時間処理区、30時間処理区および51時間処理区においてピークを示す右上がりの放物線状に推移した。また、絶食処理による5齢期間ならびに羽化までの期間の延長もしくは短縮と受精率向上には関連が認められなかった。生存率と受精率向上の観点から、4倍体雄の妊性獲得には5齢60時間からの27~30時間絶食処理が有効であり、48時間~54時間の処理が最も効果的であった。

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