日本蚕糸学雑誌
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3倍性桑品種の稔性
小山 朗夫
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1997 年 66 巻 3 号 p. 200-206

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抄録

3倍性桑品種の稔性について調査し, 育種素材として利用する可能性について検討した。供試した16品種のほとんどは完全な不稔性ではないことが認められた。2倍体に匹敵するような稔性を示す3倍性品種は見あたらなかったが, その中で「しんけんもち」及び「多胡早生」は比較的高い傾向にあった。3倍性桑の種子は発芽率が低く, その後の実生の生育も不斉一であった。人為交配による3倍体×2倍体の実生20個体の染色体数を調査したところ, 正倍接数体と異数体がほぼ同数で, 正倍数体には2倍体, 3倍体及び4倍体が認められた。これらの実生のうち, 4倍体については倍数性交配母本として, 異数体は遺伝様式解明のための材料として利用できる可能性があることを示した。さらに, 交配母本として最も適性の高い3倍性品種は「しんけんもち」であることを明らかにした。

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