日本蚕糸学雑誌
Online ISSN : 1884-796X
Print ISSN : 0037-2455
ISSN-L : 0037-2455
屋久島土壌から分離された B. thuringiensis
II. 殺虫活性とcry遺伝子
菊田 治典黒岩 学高木 龍一郎飯塚 敏彦
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 68 巻 3 号 p. 225-235

詳細
抄録

屋久島各地で分離された B. thuringiensis 53株について, カイコ, Bombyx mori ならびにヤマトヤブカ, Aedes japonicus に対する殺虫活性を検討すると共に, これら菌株が保有するcry遺伝子の同定をPCR法によって行った。
PCR法に供した oligonucleotide primer は, 生物検定にカイコならびにヤマトヤブカを材料とした関係上, cry1Aa, 1Ab, 1Ac, 1Ba, 1Ca, 1Da, 1Ea, 1Fa, 2Aa, 4Aa, 4Ba, 10Aa, 11Aa遺伝子用に用意した特異配列とした。
serovar kurstaki 24株のcry遺伝子は Jano 9-2-2 1株のみが serovar kurstaki HD-2タイプのcry1Ac, 1Ab, を保有していたが, 残る23株はHD-1タイプのcry1Aa, 1Ab, 1Ac, を保有していた。また, cry2Aaについては serovar kurstaki すべてが保有していた。serovar galleriae 14株はすべてcryAbcry2Aa遺伝子を保有していた。本実験において, それぞれの serovar 基準株と比較してcry遺伝子比較してcry遺伝子構成が異なっていた菌株は serovar thuringiensis Koma3k-1, serovar kenyae Onos2-3, serovar israelensis Aiko2-1-1であった。
殺虫活性検定において, カイコに対する殺虫活性から対照区として供試した serovar kurstaki HD-1を上回るLD50値を示したのは serovar kurstaki Jano 9-2-1であり, また, ヤマトヤブカに対する殺虫活性が対照区として供試された serovar israelensis を上回ったのは Aiko 2-1-1であった。これらの2株については新たなcry遺伝子構造を有する可能性が示唆された。

著者関連情報
© 社団法人日本蚕糸学会
前の記事 次の記事
feedback
Top