家蚕卵のホスホフルクトキナーゼ (PFK) の性状を知るため, 多化性品種 (N
4) の卵を25℃で保護し, 産卵後6日目の卵から, Hydroxylapatite, Sephacryl S-300, 及びATP-agarose カラムによってPFKを精製した。その結果, PFKは48kDaをサブユニットとし, 主として4量体から成り, この他に6量体がみられた。しかし, 5℃や0℃に保護した卵 (N
4) のPFKは6量体, および2量体として存在した。また胚発育卵のPFKは, frukutose-2,6-bisphosphate (F2,6P
2), AMPや無機リン酸によって活性化されたが, 休眠卵PFKはほとんど活性化されなかった。さらに, 休眠卵 (二化性) と胚発育卵の卵齢経過に伴うPFK活性について検討したところ, 休眠卵では低活性であったのに反し, 胚発育卵では産卵6日目から孵化まで, 急激に上昇した。そして, 休眠卵や胚発育6日目の卵のPFKはリン酸化状態にあり, その後胚発育後期 (9日目) までにPFKは脱リン酸化されることによって, 活性が上昇すると推察した。以上の結果は, 家蚕卵のPFK活性は, PFKサブユニット会合に対する温度の影響, F2,6P
2やAMPのエフェクター, さらにリン酸化/脱リン酸化によって調節されていることを示唆している。
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