高分子論文集
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一般論文
可溶性トリス (8-キノリノレート) アルミニウム含有デンドリマーの発光特性
古酒 慎也丸山 純夫雀部 博之安達 千波矢
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2006 年 63 巻 10 号 p. 675-680

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抄録

本報では, 可溶性トリス (8-キノリノレート) アルミニウム含有デンドリマーの発光特性について報告する. トリス (8-キノリノレート) アルミニウム (Alq3) およびその誘導体は有機ELデバイスにおいて代表的な電荷輸送材料および発光材料として知られているが, 溶解性の低さから真空蒸着法を代表とする乾式法においてのみ用いられてきた. 今回報告するAlq3含有デンドリマーはデンドロン部に可溶性に富む分子骨格を有するため, 塩化メチレンなどの凡用有機溶媒に可溶である特徴を有する. 本研究では, 2種類のデンドリマーおよびデンドリマーを構成するデンドロンおよびコア単体 (AlClq3) について, 希薄溶液中での吸収, PLスペクトルおよび発光寿命を測定した. また, デンドリマーをポリメタクリル酸メチル (PMMA) 中に分散させたスピンコート膜と単独スピンコート膜においても同様な測定を行った. これらの光学特性から発光部位のπ共役系を帰属し, π共役系はAlq3部分からデンドリマー全体には広がらず, デンドロン部からコア部のキノリン配位子部分に局在していることが示された. また, デンドリマーは固体薄膜においてΦPL=20~40%の比較的高いPL量子効率を示したものの, ELデバイスではΦEL~10-2%のEL量子効率に留まった.

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© 2006 公益社団法人 高分子学会
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