高分子論文集
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一般論文
色素分散型高分子系有機EL素子の高効率化へ向けた陰極構成と電子注入機構の検討
金 全健梶井 博武大森 裕
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2006 年 63 巻 10 号 p. 681-685

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抄録

フッ化セシウム (CsF) とマグネシウム銀合金 (MgAg) を陰極構成にもつ色素分散型の高分子系有機EL素子の作製と特性評価を行い, 有機層上のCsFとMgAg界面が及ぼす電子注入への影響について検討を行った. 有機層上に島状のCsFとMgAgによる共存層が形成することで, 効率的な電子注入が得られるとの知見を得た. また, 有機層上のCsとCsFの大気曝による影響が異なること, CsあるいはCsFとMgAgの積層順序が及ぼす素子特性への影響が異なることからCsとCsFが及ぼす有機層への電子注入の効果が異なることが示唆された. これらの結果から, CsFによる電子注入特性の改善の機構として, CsFから解離したCsの効果よりCsF自体の効果が大きく影響して効率的な電子注入に寄与しているものと考えられる.

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© 2006 公益社団法人 高分子学会
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