抄録
パラジウムと白金をアセチレンで架橋した複核錯体を開始剤とするイソシアニドのリビング重合を活用して, らせん状ポリイソシアニドを精密合成した. 種々のキラルイソシアニドの重合について検討した結果, 不斉炭素がエステル基のα位に位置する光学活性アリールイソシアニドから一方向巻きのらせんポリマーが選択的に得られることがわかった. これらのポリイソシアニドは, ニッケル塩触媒によって同じモノマーから合成したポリマーよりも高いらせん方向選択性を示し, これは主鎖イミノ基の立体規則性が高いことに起因することを明らかにした. 光学活性アリールイソシアニドの低重合によって合成したらせん状オリゴマー錯体を開始剤として非常にかさ高いアキラルモノマーを重合させると, 開始剤のらせんに沿って主鎖が成長し, 一方向巻きのポリマーが得られた. 本重合系はポルフィリンイソシアニドの重合にも適用でき, 側鎖上にポルフィリンが配列したポリマーを合成しただけでなく, 分子内エネルギー移動が起こることやキラルモノマーとのブロック共重合によってらせん方向の決定法として応用できることを明らかにした. さらに, 優れた酸化還元能を有するフェロセンを側鎖に導入したポリイソシアニドでは, 電気化学的な刺激によってらせん構造が可逆的に変化することを見いだした.