抄録
ホスホリルコリン基含有モノマーと長鎖アルキル基含有モノマーとの共重合により疎水性リン脂質ポリマーを合成した.このポリマーを水中で自己組織化分散させてナノ粒子とした後,乾燥させてフィルムを得た.得られたフィルムの熱物性について検討したところ,DSC により 37℃ 付近に転移温度を示す吸熱ピークが観測され,長鎖アルキル基の凝集が示唆された.X 線構造解析の結果,ポリマーフィルム中には,5.7 nm の長周期構造と約 0.42 nm の側鎖のパッキング間隔をもつ,脂質二分子膜類似のラメラ構造が存在することが明らかとなった.また,ポリマーフィルムの透過型電子顕微鏡(TEM)観察からも,約 6 nm の周期をもつラメラ構造が確認された.ラメラの積層は長距離の配向性に乏しく,連続的に配向方向を屈曲させたモザイク状の構造をもつことが明らかとなった.