2007 年 64 巻 4 号 p. 204-214
エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)のヒドロシリル化反応を利用した架橋(ヒドロシリコーン架橋)に関して,架橋剤の化学構造が架橋速度と耐スコーチ性に及ぼす影響について検討を行った.架橋剤であるヒドロシリコーン化合物中の SiH 基数の増加により,相反する架橋速度と耐スコーチ性の関係が改善されることがわかった.これらについて,計算化学解析により考察した.また,架橋剤,触媒,反応抑制剤添加量の影響についても検討した.架橋剤および触媒添加量増加にともない架橋密度,架橋速度が増加する一方,反応抑制剤添加量の増加にともない耐スコーチ性は改善された.これらの結果を従来の硫黄加硫および有機過酸化物架橋による架橋反応と比較した結果,同一架橋速度において,スコーチ時間は最大で約 4 倍,また同一スコーチ性において,架橋速度は最大で約 8 倍向上できることがわかった.