2007 年 64 巻 4 号 p. 215-222
エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)の高性能化を目的とし,ビニル基を有するエチレン・プロピレン・5-ビニル-2-ノルボルネン共重合体(VNB-EPDM)をヒドロシリル化反応で架橋し,シロキサン結合で架橋された EPDM を作製した.この架橋 EPDM について耐熱老化性,耐候性,耐疲労性,臭気性を測定し,従来の硫黄加硫および有機過酸化物架橋で架橋された EPDM のそれらと比較検討した.耐熱老化性は,硫黄加硫試料より大幅に優れ,有機過酸化物架橋試料と同等レベルにあることがわかった.耐候試験後の色差 ΔE は,硫黄加硫,有機過酸化物架橋試料と比べて,約 1/4~1/5 と優れ,クラック発生のないことがわかった.また,耐疲労性において,有機過酸化物架橋試料よりも破断寿命が約 100 倍優れることがわかった.さらに,臭気性は,6 段階臭気強度評価法で硫黄加硫および有機過酸化物架橋試料が 5 点であるのに対し,3.4 点と小さく,総揮発性有機化合物(T-VOC)も硫黄加硫試料の約 4%,有機過酸化物架橋試料の約 15%と低いことがわかった.