抄録
本研究では,希土類トリフラートをジオールとジカルボン酸の脱水重縮合触媒に初めて応用した.併せてスカンジウム(III)トリフリルイミドやポリスチレン樹脂担持型スカンジウムトリフラートについても検討した.スカンジウム トリフラート触媒下,ジカルボン酸と 1,4-ブタンジオールとの塊状重縮合は 35℃ でも進行し,1.4 mol%の触媒量で数平均分子量 1.2×104 のポリエステルを得ることができた(収率 94%).得られたポリエステルの分子量分布は 2 程度であり,エステル交換反応は抑制できたと考えられた.また,触媒は回収・再利用が可能であった.この室温脱水重縮合システムを活用して,重合に関与する官能基以外の種々の官能基を有するモノマーの重縮合が可能になり,二重結合,ハロゲンを有するポリエステルが設計どおりに合成でき,原子移動ラジカル重合(ATRP)との組合わせによる複合材料の設計を可能にした.さらに,二級のアルコールを有するジカルボン酸やジオールの化学選択的脱水重縮合も行った.