2012 年 27 巻 4 号 p. 626-632
症例は60歳,女性.2001年に健診異常にて精査の結果,膵尾部の自己免疫性膵炎と診断した.プレドニゾロンを開始し漸減中止したが,1年後に膵頭部に再燃し下部胆管狭窄と閉塞性黄疸を来した.プレドニゾロンを再開し5mg隔日投与まで減量したが,6年後に膵頭部及び膵尾部に再燃し,硬化性胆管炎を伴っていた.自己免疫性膵炎は未だに病態に不明な点が多い.本症例は,ステロイド中止あるいは漸減中に,長期経過を経て2度異時性異所性に再燃しており,自己免疫性膵炎の予後を考える上で示唆に富むと考え,若干の文献的考察を加え報告する.