抄録
ポリカプロラクトン(PCL)に抗菌物質であるカルコンを溶融混練した.この混練物のロール延伸フィルムに対する線維芽細胞の接着性およびカルコン毒性について調べた.ロール延伸したカルコン混練フィルムへの線維芽細胞の接着数は,未延伸に比べて著しく向上した.また,カルコン添加培養液中で,ロール延伸したカルコンフィルムに接着した細胞の 50%細胞阻止濃度(IC50)は約 2.5 倍高くなり,ロール延伸による細胞生存率の向上が認められた.ロール延伸したカルコンフィルムの高次構造を広角 X 線回折(WAXD)と示差型熱量測定(DSC)により評価した.その結果,ロール延伸により分子鎖が延伸方向に配向するとともに(200)面がフィルム面上に配向し,配向結晶化が認められた.これらの高次構造変化とカルコン混練試料への細胞接着および細胞毒性に強い相関性が認められた.