アルミニウム/エポキシ樹脂界面の接着機構を量子化学計算により分子論的に解析した.アルミニウム表面および diglycidyl-ether of bisphenol A(DGEBA)の相互作用を考慮し,Al(OH)3/DGEBA のクラスターモデルを構築した.密度汎関数法による構造最適化計算から水素結合により両者が安定な接着構造をとることがわかった.続いて周期境界条件を満たす無限に広がる界面接着モデルを構築した.モデルの接着エネルギーを求め,DGEBA がアルミニウム表面に張り出したヒドロキシル基と複数の水素結合を形成することを明らかにした.接着剤・被着材を界面から垂直方向へ引き離しながら部分構造最適化を行い,移動距離に対するモデルの全エネルギーのプロットをとり,さらにエネルギーの引き離し座標に関する微分から被着材/接着剤間にはたらく接着力を算出した.その値が実験値と大きく矛盾しないことから,この系の接着が水素結合により起こることが示唆される.