2011 年 68 巻 7 号 p. 405-416
高分子触媒の一種として,DNAzyme,リボザイム,あるいはアプタザイムと呼ばれる核酸をベースとした触媒を合成した.それらは,ランダム配列の DNA や RNA の配列の中から進化分子工学でヘミン結合性を指標に選別された.ヘミンに結合するとともに,錯体を形成し,ペルオキシダーゼ活性を示した.さらにアゾベンゼンを含むオリゴ核酸の選別にも成功した.この結合性は光照射に依存し,触媒活性も同様に光照射によりコントロールできた.次に,生体触媒の合成高分子とのハイブリッド化も行った.ポリエチレングリコールと抗体や核酸との複合体を調製し,それらが有機溶媒中でも働くことを示した.また,光応答性高分子と酵素との複合体も調製し,光照射によって有機溶媒中で触媒活性が制御できることを示した.