高分子論文集
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総合論文
人工改変ポリエステル合成系遺伝子群を導入した植物工場によるポリエステル生産
松本 謙一郎
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2011 年 68 巻 8 号 p. 562-569

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抄録

ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は,微生物が合成・蓄積するポリエステルであり,バイオマスを原料として生産できるプラスチック材料として注目されている.さらに,PHA の生合成に必要な遺伝子を植物に導入する事により,大気中の二酸化炭素を炭素源とした PHA 生産が可能となる.PHA の熱的・機械的性質は,ポリマーを構成するモノマーの種類と共重合組成に大きく影響されるため,優れた物性をもつ PHA を生産するためには,組成の制御が重要になる.植物で共重合体を合成するためには,二酸化炭素から構成成分となるモノマーを供給し,さらにそれらのモノマーを重合できる活性を有する重合酵素を機能的に発現させる必要がある.筆者らは,人工的に変異を導入して機能を高めた PHA 合成酵素群を植物細胞内で組合せることにより,共重合体の合成に成功した.この結果により,人工改変酵素が光合成 PHA 生産におけるポリマーの分子設計に強力なツールになりうることが示された.

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© 2011 公益社団法人 高分子学会
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