2015 年 72 巻 2 号 p. 57-63
カンテン(Ag)ゲルおよびキサンタンガム(Xa)-ローカストビーンガム(Lo)混合ゲルを試料として,ゲル物性ならびに網目構造の解析を行った.また,ゲル中にアセトアミノフェンを包含させ,薬物の溶出性を評価した.各ゲルにおいて破断応力と架橋点間距離を測定したところ,破断応力が高くなるに従い,距離が短くなることがわかった.しかし,種類の異なるゲル間での比較においては,破断応力と架橋点間距離に関連性は認められず,ゲルの形成様式の違いが網目構造の緻密さを決定していることがわかった.ゲルからのアセトアミノフェンの溶出特性を評価した結果,AgゲルよりもXa-Lo混合ゲルの方が明らかに溶出速度が遅く,ゲルの網目サイズ(緻密さ)に依存していることがわかった.このゲルの緻密さを調整することにより,天然高分子ゲルでの薬物放出制御ができる可能性が示された.