2015 年 72 巻 2 号 p. 64-70
シクロデキストリン(CD)の包接能を利用した吸着材を開発するために,グリセリン(Gly)およびエピクロロヒドリン(EPC)を用いて架橋したCDポリマーを合成した.得られたCD-Gly-EPC共重合体は水や有機溶媒に不溶であった.Glyの添加による影響はCDの添加量を増やしたときに認められ,Glyが分枝部分となることでCD導入部分を分散させていることが示唆された.また,CDの導入量はGlyの添加量の増加とともに増え,重合効率の向上にも効果的であることがわかった.さらに,バイオディーゼル燃料(BDF)の製造時に副生される廃Glyを用いた共重合体も市販のGlyを用いた共重合体と同じ結果が得られた.この廃Glyを原料にした共重合体はビスフェノールAや4-ノニルフェノールに対しても高い吸着効果を示したことから,水質浄化材として有効であり,廃Glyの新しいリサイクル方法として利用できる.