2015 年 72 巻 2 号 p. 71-75
本研究では水溶性セルロースを誘導体化する方法として,塩基性水溶液中で反応を行うショッテンバウマン反応を選択し,水を用いた反応と後処理による環境負荷の少ない変換法の開発を目指した.まず,水溶性セルロースとしてヒドロキシエチルセルロースを選択し,飽和Na2CO3水溶液中での塩化ベンゾイルとの反応について検討を行った.目的のベンゾイル化生成物の形成についてATR-IR,13C NMRの測定により確認,同定を行った.また,多糖類であるデキストリンへのベンゾイル化,ヒドロキシエチルセルロースへのシンナモイル化,ブチル化も進行することが明らかとなり,水溶性高分子の誘導化反応として広く利用できることが明らかとなった.