高分子論文集
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原著論文
糖鎖模倣ペプチドのインフルエンザヘマグルチニンに対する結合活性の多価効果
松原 輝彦大西 愛齋藤 智美山口 大介佐藤 智典
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2016 年 73 巻 1 号 p. 62-68

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抄録
インフルエンザウイルスは細胞表面のシアル酸含有糖鎖に結合して感染することから,感染過程を阻害する化合物は抗インフルエンザ薬として期待できる.筆者らは以前にファージ提示法を用いてヘマグルチニン(HA)に対する親和性選択を行い,ペプチドライブラリーからHAに結合するs2配列(ARLPRTMVHPKPAQP)を得た.s2配列にステアロイル基を修飾したペプチドはウイルスの感染阻害活性を示し,s2配列が感染阻害剤として有用であることが示された.そこで本報では,HAとの結合親和性を高めるための分子設計として,s2配列の短鎖化およびデンドリマー化を行った.その結果,s2配列は短鎖化により親和性が低下したが,デンドリマー化することによって顕著に親和性が向上した.とくにN末端5残基の四分岐デンドリマーでは,s2配列の70倍を超える親和性の向上が達成された.
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© 2016 公益社団法人 高分子学会
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