1959 年 16 巻 167 号 p. 165-172
2種の高分子電解質を含む混合系の電気泳動を行ない, 泳動図形から求められる試料の混合比が下降界面ではよく分析的混合比に一致し, 上昇界面では両者の間に著しい差のあることが認められた. この差はDoleの理論により輸率の濃度変化を考慮に入れると若干減少することが判明したが, この補正値をもってしても十分な一致を得られなかった。またδ界面が高分子成分と逆の方向にかなりの速さで移動することが見出された。この現象は, 上述の不一致とともに, 高分子イオン間の静電的相互作用の考慮によって定性的に理解しうることが示唆された。