高分子化學
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酢酸ビニルおよびアクリル酸誘導体のカチオン重合に対する挙動
東村 敏延岡村 誠三
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1960 年 17 巻 186 号 p. 635-640

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抄録

スチレンよりカチオン重合性が小さくてカルボニウムイオンを安定化するような側鎖を有するビニルモノマ一, すなわち酢酸ビニル (VAc), メタクリル酸メチル (MMA) およびアクリル酸メチル (MA) がカチオン重合反応においてどのような挙動をするかを検討した。これらビニルモノマーはスチレンの単独重合を著しく阻害するが, その作用は単純な移動または停止剤としての挙動のみでなく, ビニル基での反応も進行していることが推定された。またカチオン単独重合およびスチレンとのカチオン共重合の結果より, これらモノマーのカルボニウムイオンに対する反応性の順序は以前にLandlerによって求められた順序と異なり, スチレン≫VAc>MA=MMAの順に小さくなることが認められた。この順序はモノマーの静電気的な性質によって説明される。スチレンとVAcとの共重合ではその共重合比は重合条件, 主として溶媒の極性で変化することもあわせて明らかとなった。

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