1960 年 17 巻 186 号 p. 651-655
塩化トリホスホニトリル (P3N3Cl6) の重合を封管中で150から500℃ の温度範囲において検討した。実験結果から230℃ 以下では顕著な変化は認められないが, 270℃ 以上になるに従って急速に重合し, ゴムと全く類似の弾性重合体を生成する。350℃ では一部解重合を認めた。空気, 窒素両気流中における重合を比較検討したが, はっきりした差異は見出されなかった。これらの生成ポリマーは水, 多くの有機溶媒に不溶で, ベンゼン, トルエンのような炭化水素には膨潤するのみである。酸アルカリに対してはきわめて強い抵抗を示す。生成ポリマーの分子量はヤング率, 比重を測定してKuhnの式 から求めた。重合度は平均500-600程度であった。