高分子化學
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チオリグニンと合成ゴムとの結合に関する研究
第4報 リグニンと強固な結合をしたSBRまたはNBRの構造特性
和田 昭三
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1961 年 18 巻 200 号 p. 733-739

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抄録

リグニン途成ゴム (SBRまたはNBR) 共沈体の常温乾燥体から, 溶媒による抽出で易溶性ゴム分を抽出し, 残留する難溶性ゴムの赤外線吸収スペクトルを測定してみた。その結果残留分には, 特にスチレン核, またはニトリル基に富んだ分が多い。したがってまた, 低スチレンSBRと高スチレンSBRまたはSBRとNBRとの混合ゴムリグニン共沈体からは, いずれの場合も前者側のゴム分が選択的に抽出されることがわかった。また, 各抽出分の固有粘度を測定して, 残留分には, 高重合度分の多いことが結論された。さらに低リグニン含量の共沈体からゴム分を抽出する場合には, ゴムといっしょにリグニンが若干付随して溶出することが観察された。以上の諸結果は, 第1~3報に述べたように, リグニンとゴムとの二次結合がプロトン-π電子間の相互作用に依存することの大きいことを実証した具体例の一つと考えることができる。

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