高分子化學
Online ISSN : 1884-8079
Print ISSN : 0023-2556
ISSN-L : 0023-2556
ポリアクリロニトリルの分別に関する研究
第3報ジメチルスルホキサイドートルエン系による分別沈殿法について
藤崎 誼達小林 秀彦
著者情報
ジャーナル フリー

1962 年 19 巻 201 号 p. 49-56

詳細
抄録

溶媒としてジメチルスルポキサイドを用い, 沈殿剤として非溶媒トルエンを使用する, ポリアクリロニトリルの分別方法を見出した。この分別系を中心に, 濃厚相中の重合体容積分率の変化の分別効率に及ぼす影響について論議した。論議の対象として, 上記分別系のほかにジメチルホルムアミドーヘプタン系, ジメチルホルムアミド-ヘプタンーエーテル系, とドロキシアセトニトリルーベンゼンーエタノール系および60%硝酸_ブタノール系を取り上げた。その結果, 分別効率を支配する主因子として濃厚相中の重合体容積分率が非常に重要な役割を演じていることがわかった。濃厚相中の重合体容積分率は, 分別系の重合体濃度および分別温度によって影響を受ける。しかし, 相平衡時の系中重合体濃度が等しければ, 各分別系における濃厚相中の重合体の容積分率は, 高分子量領域における硝酔-ブタノール系は別として, それほど大きな変化はない。また, その濃厚相中の重合体容積分率の分別効率に及ぼす影響も分別系によってそれほど変わらない。
さらに, ジメチルスルホキサイドートルエン系分別沈殿法で得た画分の分子量的不均一性について論議した。一般に結晶性高分子の分別は, その分別効率が思わしくないと考えられているが, ジメチルスルホキサイドートルエン系分別沈殿法でポリアクリロニトリルを再分別することによって得られた画分は, きわめて均一な分子量を示し, 光散乱から得られた重量平均分子量と拡散定数および極限粘度から求められた平均分子量の間にほとんど差が見られらかった。

著者関連情報
© 社団法人 高分子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top