高分子化學
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ポリアクリロニトリルの分別に関する研究
第4報硝酸-ブタノール系分別沈殿における二三の問題点について
藤崎 誼達
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1962 年 19 巻 201 号 p. 56-63

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抄録

ポリアクリロニトリルを硝酸に溶解し, 沈殿剤として非溶媒ブタノールを用いる分別沈殿法を行なうに当っての二三の問題点について論議した。その結果, 1) 60%硝酸を溶媒として5℃ で分別された画分は, 窒素分析および赤外吸収スペクトル測定の結果, ニトリル基の一部が酸アミド基に変化している危険性はない。2) 60%硝酸および硝酸-ブタノール系混合溶媒で画分を処理したが分子量が低下することはない。3) 分別効率は硝酸濃度の増加とともに向上するが, 70%硝酸ではブタノールとの化学反応が阻止できず, 分別を完遂することはできない。4) 硝酸-ブタノール系分別沈殿法で得られる結果は, 他の分別系に比べて分別重合体濃度を低くとちないと, 商分子量領域で異常な分布曲線を示すが, この現象は試料の分子量分布範囲が低分子領域へ移るにしたがって少なくなる, などのことが明らかとなった。

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