1962 年 19 巻 210 号 p. 593-597
α-α'-azo-bisisobutyfonitrile (AZN) を触媒とするメタノール中の酢酸ビニルの重合に関する前報の実験結果を用いて, 動力学的考察を行ない, 二三の結論を得た。1)「重合禁止期とはモノマー中の不純物が, 触媒の分解で生じたラジカルにより消費し尽くされるに要する時間である」との仮定のもとに, 重合温度ならびに触媒濃度と禁止期の長さの関係から, AZNの分解の速度定数およびモノマー中の不純物濃度を求めて, 妥当な値を得た。2) 重合度と重合初速度からk/kp2の値ならびにその見かけの活性化エネルギーを求め, 塊状重合において従来求められているものとほぼ一致した値を得た。3) メタノールの連鎖移動定数として, 5.5 (70℃), 4.3 (60℃), その見かけの活性化エネルギー (Es-Ep) として5.5kcal/molを得た。