高分子化學
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19 巻, 210 号
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  • 第1報各種抗酸化剤の効力
    小沢 三四郎, 村井 惟徳
    1962 年 19 巻 210 号 p. 571-574
    発行日: 1962/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    抗酸化剤無配合のチーグラー法ポリエチレンシートを170℃および150℃の空気浴中で加熱したときの重量変化を測定した。170℃加熱のとき最初から重量は減少したが, 150℃のときは数時間は増加し, その後減少し始めた。抗酸化剤を配合したものを150℃で試験すると, 抗酸化剤の効力に応じた誘導期があり, その後に増量が始まる。この方法によって, チーグラー法ポリエチレンに対する各種の抗酸化剤の誘導期を測定した。その結果, 強力な抗酸化剤の種類を明らかにした。
  • 第1報ギ酸ビニルのホルミル基間相互作用
    藤井 洌, 井本 三郎, 浮田 純二, 松本 昌一
    1962 年 19 巻 210 号 p. 575-580
    発行日: 1962/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    種々のビニルエステルから得られるポリビニルアルコール (PVA) を比較して調べ, ギ酸ビニル (VF) から得られるPVAの1, 2グリコール結合量が予想外に少ないことを見出した。この原因として重合の際にモノマーの会合性が影響しているものと考え, VFのホルミル基の相亙作用を検討した。まず紫外線および赤外線吸収スペクトルによりVFのホルミル墓のプロトン受容体あるいは供与体としての強さを調べ, またPVAの部分ホルレミル化物の性質を他の部分エステル化物の性質と比較してホルミル基の特異性を明らかにした。重合実験を行ないVFから得られるPVAの1, 2グリコール結合量は重合溶剤により変化することを見出した。この結果は重合に際してモノマーの会合性が影響することを強く示唆するものである。
  • 第2報ポリギ酸ビニルの溶液粘度 (I)
    藤井 洌, 井本 三郎, 浮田 純二, 松本 昌一
    1962 年 19 巻 210 号 p. 581-587
    発行日: 1962/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリギ酸ビニル (PVF) の溶液粘度と分子量の関係を知るべく, 酢酸ビニルの初期重合物をケン化して得たポリビニルアルコール (PVA) のホルミル化物の数種の溶媒中における粘度を測定した粘度-分子量の関係を実験的に求めた。さらにギ酸ビニル (VF) の重合物の粘度測定を行ない, 実験式の適否やHugginsの定数k'などについて検討した。
  • 第3報重合温度の異なるポリギ酸ビニルの性質
    藤井 洌, 井本 三郎, 望月 隆仁, 浮田 純二, 松本 昌一
    1962 年 19 巻 210 号 p. 587-592
    発行日: 1962/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    重合温度-78°~+120℃ の範囲でラジカル重合により得たポリギ酸ビニル (PVF) の性質を調べ, 密度, 二次転移温度, 溶解性, 溶液のゲル化速度などの諸性質が重合温度により著しく変化することを認めた。従来よりPVFはまったく非晶性のポリマーと考えられてきたが, 低温重合PVFは結晶性のX線回折図形を与えることが見出された。赤外線吸収スペクトルについても調べたが, 結晶化に伴って強度が変化するバンドが1420, 1272, 1026および924cm-1の位置に4本存在することが見出された。これら性質の差異はポリマー構造の規則性の変化に基くものと考えられるが, その一つとして立体特異性の変化があげられる。結晶性PVFは5.0Å の繊維周期を示す事実は立体規則性の向上はシンジオタクチック構造の増加に基くものであることを強く示唆するものと考えられる。
  • 第2報動力学的考察
    桜田 一郎, 坂口 康義, 橋本 浩二
    1962 年 19 巻 210 号 p. 593-597
    発行日: 1962/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    α-α'-azo-bisisobutyfonitrile (AZN) を触媒とするメタノール中の酢酸ビニルの重合に関する前報の実験結果を用いて, 動力学的考察を行ない, 二三の結論を得た。1)「重合禁止期とはモノマー中の不純物が, 触媒の分解で生じたラジカルにより消費し尽くされるに要する時間である」との仮定のもとに, 重合温度ならびに触媒濃度と禁止期の長さの関係から, AZNの分解の速度定数およびモノマー中の不純物濃度を求めて, 妥当な値を得た。2) 重合度と重合初速度からk/kp2の値ならびにその見かけの活性化エネルギーを求め, 塊状重合において従来求められているものとほぼ一致した値を得た。3) メタノールの連鎖移動定数として, 5.5 (70℃), 4.3 (60℃), その見かけの活性化エネルギー (Es-Ep) として5.5kcal/molを得た。
  • 白石 誠
    1962 年 19 巻 210 号 p. 598-602
    発行日: 1962/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    アルデヒドを溶剤として重合した低分子量のポリビニルアルコール水溶液はpHの変化に伴って可逆的に呈色するが, これらポリビニルアルコールの紫外吸収スペクトルもpHによって大きく変化する。またモデル物質として用いたヘキサジエナールのpHの変化に伴う呈色反応, 紫外吸収スペクトルの変化も, これらポリビニルアルコールと全く同じ挙動を示すことから, 呈色反応と紫外吸収スペクトルの変化には相関的な関係が存在し, 呈色には-C-(CH=CH)n-のn=2以上の共役不飽和系にある末端カルボニル基の構造変化が関係しているものと思われる。
  • 1, 4-ビス-(β-カルボキシエチル)-ベンゼンのポリアンハイドライドの合成
    依田 直也
    1962 年 19 巻 210 号 p. 603-612
    発行日: 1962/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    各種芳香族ポリアンハイドライドを合成する日的で, 芳香環とカルボキシル基との間にメチレン基2個を有するポリ-1, 4-ビス-(β-カルボキシエチル)-ベンゼンを合成し, 各種ポリアンハイドライドの構造と性質について検討した。アクリロニトリルと塩化水素の反応によりβ-クロルプロピオニトリルを合成し, これを無水塩化アルミニウム触媒の存在下にFriedd-Crafts反応を行なってβ-クロルプロピオニトリルとベンゼンの脱塩酸反応を検討した。これからさらに1, 4-ビス-(β-カルボキシエチル)-ペンゼンを合成し, 反応の最適条件を決定した。つぎに精製1, 4-ビス-(β-カルボキシエチル)-ベンゼンを無水酢酸の存在下に縮重合を行ない文献記載のない新しい結晶性ポリアンハイドライド (mp90~91℃) を合成した。得られたポリマーと各種芳香族ジカルボン酸ならびに複素環式ジカルポン酸から得られたポリアンハイドライドとの性状を比較検討し, 赤外スペクトルならびにX線回折図に基きポリマーの分子構造を考察した。
  • 芳香族アミドジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の共重合ポリアミドポリアンハイドライドの合成
    依田 直也
    1962 年 19 巻 210 号 p. 613-619
    発行日: 1962/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    分子内にアミド結合をもつ芳香族ジカルボン酸としてメチレン-ビス-(ρ-かレボキシフェニル)-アミドを合成し, 脂肪族ジカルボン酸との縮重合により, 主鎖中にアミド結合とアンハイドライド結合をともに含む結晶性共重合ポリアンハイドライドを合成した。アジピン酸ならびにセバシン酸との共重合体の組成と融点の関係図を求めた。結晶性ポリアミドポリアンハイドライド共重合体の融点はアミドジカルボン酸のモル分率の減少とともに低下し, 融点と組成の間には次のFloryの式で表わされる関係式を満足することを確認した。
    (I/Tm)-(I/Tm0)=-(R/hu)InXA
    これからクリスタリット: を形成するメチレン-ビス-(p-カルボキシフェニル)-アミドのアンハイドライドmolあたりの溶融熱としてhu=2600~2620cal/repeat unit, また溶融のエントロピー, Su=8.06~8.08cal/repeat unit/degなる値を得た。さらに共重合ポリアミドポリアンハイドライドの赤外スペクトルならびにX線図に基いてポリマーの分子構造についての考察を行なった。
  • 桜田 一郎, 坂口 康義, 大隅 行彦, 西野 潤
    1962 年 19 巻 210 号 p. 620-626
    発行日: 1962/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    アクリル酸を種々のpH値とモノマー濃度をもつ水溶液中で,(NH4) 2S2O8を開始剤に用いて50℃ で重合させた。得られたポリアクリル酸は電圧滴定挙動および溶解性が相互にかなり異なる。これらの結果は主としてこれらのポリマーの立体的形態の差異に基くものと考えられる。pH7付近の低モノマー濃度の水溶液中で重合されたポリアクリル酸は, よりシンジオタクチックであると考えられる。
  • 紫外線重合における増感剤について
    吉田 正俊, 谷山 雅一
    1962 年 19 巻 210 号 p. 627-633
    発行日: 1962/10/25
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
    塩化亜鉛水溶液中でアクリロニトリルを重合させて紡糸原液とし, それをそのまま紡糸して繊維をつくる際, 繊維の白度を向上するためには, 紡糸原液の透過率が大きいことが非常に重要であるが, それを向上するためには低温で重合を行なわしめること, 溶媒に酸を加えてpHの低い状態で重合を行なわしめること, かつ触媒 (または増感剤) の量が少ないことが必要である。紫外線による増感重合は活性化エネルギーが低いため容易に低温重合を行なえて, かつpHを低下させると通常の熱重合の場合は急速に速度が低下するに対し光重合の場合はまったく不変か, またはあまり速度が低下しないし, また増感剤の量も熱重合に比し少なくすることができる。かかる意味で繊維の白度を向上する目的で光重合を採用することは有効である。増感剤としてはα, α'アゾビスイソブチ獄ニトリル, ベンゾイン, 硝酸ウラニル, 過酸化水素, 過硫酸アンモンなどが効果がある。ベンジル, ベンゾフェノン, 塩化スズ, セリウム塩, などはほとんど効果がなかった。なお工業的に行なう場合の要因については次報で述べる。
  • 紫外線重合における増感剤の特性について
    吉田 正俊, 谷山 雅一
    1962 年 19 巻 210 号 p. 633-640
    発行日: 1962/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    第1報において光重合と熱重合の効果の差につき, 重合体溶液の透過率の点から検討し, また紫外線重合に適当な増感剤の種類につき比較検討したが, 本報は, それらの増感剤の光重合における特性につき研究を行なった。まず塩化亜鉛水溶液中におけるアクリロニトリル (以下ANと略記す) の光重合速度 (Rp) は光の強度 (I) と次の関係にあることを見出した。
    増感剤: α α'azobisisobutylonitrile (ABIN) RpI0.5
    増感剤: ammonium persulfate (APS) RpI0.5
    増感剤: hydrogen peroxide (HPO) RpI0.7
    増感剤の吸光係数 (α) については次のごとくである。今もし過酸化水素の場合α=1とすれば, ABINではα=7.82, Benzoin (BZI) ではα=12.5である。重合速度は, α, 増感剤濃度 (c), セル|の|厚さ (d) およびhtensity exponent (n) と次の関係にある。一般にIRp=AInおよびI0/I=10α・c・dここでAはモノマー濃度一定の場合は定数。為は入射光の強度である。したがって両式より
    logRp=logAI0n-α・c・d・n
    著者らは, 上式が成立することを確かめた。ここで (α・c・n) の積の小さい増感剤が, 光源より遠い位置の被重合液でも, 重合速度が衰えないということがいえる。下記にその測定値を示すごとくHPOがいちばhその値が小さく, したがって重合の均一性が良いことを見出した。
    HPO: α・c・n=0.77
    ABIN: α・c・n=2
    重合速度のZnCl2濃度の影響は次のごとくZnCl2濃度の約2.5.25
    BZI: α・c・n=3.78
    乗に比例する。
    APS: Rp=k [AN](α'+ [APS] 0.5)[ZnCl2] 2.5
    HPO: Rp=k [AN](β'+ [HPO] 0.5)[ZnCl2] 2.3
    ここでα'およびβ'は定数である。また分子量の逆数はZnCl2濃度の2乗に比例す
  • 着色模型物質の合成
    高田 利宏
    1962 年 19 巻 210 号 p. 641-652
    発行日: 1962/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリアクリロニトリルをアルカリで処理した場合に起こる着色現象を検討するためにCH3 [CH (CN) CH2] 1-4Hの構造をもった模型物質を使用した。そしてポリアクリロニトリルから誘導された着色体の単位構造と推定される物質を逐次合成した。これらの模型物質をジメチルホルムアマイド中でKOHで処理し, その時の紫外吸収スペクトルの変化を測定した。その結果CH3 [CH (CN) CH2] 2-4Hの場合は環状構造が形成され, CH3 [CH (CN) CH2] 3-4Hの場合には同時に着色を伴うことが認められた。
    この着色の原因を調べるためグルタロイミド環をもつ誘導体およびグルタロイミジン環をもつ誘導体を合成し, KOHによる着色性, および紫外吸収スペクトルに関して検討した結果, グルタロイミド環はポリアクリロニトリルの着色構造には無関係であるが, グルタロイミジン環をもつ誘導体の合成のときにCH3 [CH (CN) CH2] 3HをNaNH2で処理して得られたオクタハイドロ-2, 7-ジイミノ-3, 6-ジメチル-1, 8-ナフ チリジンがポリアクリロニトリルの着色構造の単位構造構型であると考えられ, ポリアクリμニトリルの着色の原因がナフチリジン環類似構造の形成にあるという従来の仮説を本質的に証明することができた。
  • 第2報アルカリ処理による環状構造化について
    高田 利宏
    1962 年 19 巻 210 号 p. 653-662
    発行日: 1962/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリアクリロニトリルに対するアルカリの作用を, ジメチルホルムアマイド (以下DMFと略記) 中における場合と比較するためにKOHを含む無水エタノール (以下EtOHと略記) 溶液中での模型物質の紫外吸収スペクトルの変化を測定した。
    その結果DMFにおける場合と同様に環状構造の生成が確認されたが, その環化反応速度はDMF中よりもはるかに小さく, さらにCH3 [CH (CN) CH2] 3-4Hでも着色しなかった。しかし, ポリアクリロニトリルがEtOH中でKOHの作用により徐々に着色することから, EtOH中でも多くのニトリル基が連続していると着色構造化することが考えられる。
    アクリロアマイドを共重合したポリアクリロニトリルは純ポリアクリロニトリルよりも疎OH中でKOHの作用による着色速度がはるかに大きいことを認めたので, その環化反応速度の差を模型物質を用いて半定量的に観察した.その結果型の構造は の約400倍の速度で環状構造化することが認められた。したがってポリアクリロニトリルがアルカリにより環状構造化して着色を起こす場合に-CONH2基が存在すれば優先的にそこから環化反応が始まることが認められた。
  • 桜田 一郎, 坂口 康義, 土屋 静雄
    1962 年 19 巻 210 号 p. 663-666
    発行日: 1962/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    同一重合度 (7000) を持つ直鎖および分岐 (1分子あたりの分岐単位数は約8) ポリビニルアルコール分別物を, グリオキシル酸およびo-フタルアルデヒド酸によって同一反応度まで部分アセタール化した。カルボキシル基を含むこれら試料は直鎖および対応する分岐ポリマーに対してほとんど同一の電圧滴定挙動を示した。しかし, 希薄水溶液の粘度は直鎖ポリマーの方が分岐ポリマーよりかなり高かった。またO-フタルアルデヒド酸による部分アセタール化ポリビニルアルコールは少し異常な粘度挙動を示した。これらの結果に対して若干の考察を行なった。
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