高分子化學
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塩化亜鉛水溶液中におけるアクリロニトリルの光重合に関する研究
紫外線重合における増感剤について
吉田 正俊谷山 雅一
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1962 年 19 巻 210 号 p. 627-633

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抄録

塩化亜鉛水溶液中でアクリロニトリルを重合させて紡糸原液とし, それをそのまま紡糸して繊維をつくる際, 繊維の白度を向上するためには, 紡糸原液の透過率が大きいことが非常に重要であるが, それを向上するためには低温で重合を行なわしめること, 溶媒に酸を加えてpHの低い状態で重合を行なわしめること, かつ触媒 (または増感剤) の量が少ないことが必要である。紫外線による増感重合は活性化エネルギーが低いため容易に低温重合を行なえて, かつpHを低下させると通常の熱重合の場合は急速に速度が低下するに対し光重合の場合はまったく不変か, またはあまり速度が低下しないし, また増感剤の量も熱重合に比し少なくすることができる。かかる意味で繊維の白度を向上する目的で光重合を採用することは有効である。増感剤としてはα, α'アゾビスイソブチ獄ニトリル, ベンゾイン, 硝酸ウラニル, 過酸化水素, 過硫酸アンモンなどが効果がある。ベンジル, ベンゾフェノン, 塩化スズ, セリウム塩, などはほとんど効果がなかった。なお工業的に行なう場合の要因については次報で述べる。

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