高分子化學
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ポリビニルアルコールの水溶液中でのアセタール化反応に及ぼす食塩の影響
桜田 一郎坂口 康義吉田 周司
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1964 年 21 巻 234 号 p. 620-624

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抄録

ポリビニルアルコール (PVA) および二三の低分子多価アルコール (1, 3-プロパンジオール・1, 3-ブタンジオール, およびペンタエリスリトール) を酸触媒 (塩酸・メタンスルホン酸, およびトルエンスルホン酸) を用いて, 水中で数種のアルデヒド (アセト-・プロピオン-, およびn-ブチルーアルデヒド) によりアセタール化し, 反応初速度に及ぼす食塩添加の影響を検討した。食塩 (0~0.7M) は一般に多価アルコールのアセタール化を促進し, この促進効果の順序はPVA>ペンタエリスリトール>1, 3-ブタンジオール>1, 3-プロパンジオールである。たとえば, 0.7M食塩を添加するとPVAの反応速度は約2倍に増加する。加速効果はPVAの場合には反応温度 (5~70℃) にほぼ無関係であるが, 他のアルコールの場合には反応温度の低下に伴って増大した。いずれのアルコールの場合も, 加速効果はアルコールの濃度 (水酸基として0.05~0.20M), 触媒の種類と濃度 (1/200および1/10N) にほぼ無関係である。同様な条件における酢酸エチルの加水分解は, 食塩の添加によってわずかに加速されるだけである。

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