高分子化學
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21 巻, 234 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 林 美樹, 黒田 誠, 井村 健, 井波 章
    1964 年 21 巻 234 号 p. 577-583
    発行日: 1964/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    N-ビニルカルパゾールを注意深く無触媒で光重合させたポリマーの光導電性に関して検討した。光電流測定用セルはくし型にAlを蒸着した表面セル, および蒸着Al-ポリマー-NESA膜からなるサンドイッチセルの両者を使用した。暗抵抗は常温にて1.9×1015Ω ・cm, 明暗電流の活性化エネルギーは, それぞれ0.14eV, 0.66eVを得た。実験はすべて10-4mmHg以下の真空中で行なったが, 測定系へ乾燥空気を導入すると電流値が増加することがわかった。またサンドイッチセルにおいて光照射側電極を正とした方が負の場合より電流が多く流れた。これらの事実は本ポリマーの電流を支配する担体が正孔であることを示す。分光光電流のピーク (356mμ) は, 光吸収端 (360mμ) とほぼ一致する。光電流は照度とほぼ比例関係にあることがわかった。
  • 栗山 将, 富板 和夫, 白樫 侃
    1964 年 21 巻 234 号 p. 584-587
    発行日: 1964/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    PETのチップを真空中で融解し, 冷却様式, 融解温度, 融解時間を変化させた試料についての体膨張, 比熱, 示差熱分析の測定を行なった。体膨張において200℃付近にK. Ueberreiterらが以前に報告した異状膨張の存在することをこれらの試料に認めた。比熱, 示差熱分析の両実験結果においては, 異状体膨張を熱的に起こさせるほどの熱的変化がわずかしか認められない。また, 1度溶融押出成型したフィルムの体膨張測定では, 異状体膨張がほとんどみられない。この異状体膨張の機構をStatton, 平井らの折りたたみ型結晶の厚化現象, 特に平井らのSliding diffusionによる厚化機構を考慮するとよく説明されるようである。
  • 第1報熱膨張
    白樫 侃, 石川 欣造, 宮坂 啓象
    1964 年 21 巻 234 号 p. 588-593
    発行日: 1964/10/25
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
    PVA結晶の熱膨張挙動の検討をX線回折により行なった。PVA結晶は120℃ 付近に二次転移点をもつことが明らかにされた。この転移はX線回折図, 比熱, 力学分散などの結果を参照すると非常に穏やかな性格をもつものと考えられ, 主として分子軸に対して垂直成分をもつ局部的な分子の運動によってひき起こされるものと推定される。転移点前後でのPVA結晶の三軸方向および体積膨張係数は次のような値が得られた。

    (101) + (101) の回折ピークの左右の変化からみてPVA結晶の単斜角βの温度係数は負の値をとるものと推定された。
  • 三木 恭輔
    1964 年 21 巻 234 号 p. 594-601
    発行日: 1964/10/25
    公開日: 2012/02/20
    ジャーナル フリー
    2種合金の規則・不規則変態の初歩理論に類似した簡単な統計熱力学的取扱いによって, ポリエーテル型高分子-{-A-(B) b-} n-の微結晶内での分子配列の横方向の規則度の温度依存性を計算した。横方向の規則度 (fp) は次式で与えられる。〓
    ここでbはくり返し単位中の原子団Bの数, lは配列の単位となるセグメントの大きさ, △ε は1対のくり返し単位あたりの規則配列と不規則配列との結合エネルギーの差である。次に配列の規則度を考慮に入れてポリエーテル型高分子の融解熱と化学構造とを関係づける式を導いた。この式に適当な数値を入れて計算した一連のポリエーテルの融解熱は実測値の傾向とよく一致する。
  • 第1報放射線橋かけを行なったエチレンープロピレン共重合体の化学応力緩和
    祖父江 寛, 村上 謙吉, 右田 哲彦, 星野 祐幸, 井手上 英斗
    1964 年 21 巻 234 号 p. 602-605
    発行日: 1964/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    放射線橋かけを行なったエチレンープロピレン共重合体の, 高温における酸化反応を調べるために, 化学応力緩和測定を行なった。その結果, この放射線で橋かけされたエラストマーの酸化反応による切断形式は, 放射線橋かけ天然ゴムとは正反対に, 橋かけ部分の優先的な切断であることが観察された。また, 不連続応力緩和測定から, 酸化反応による橋かけ生成の量は初期橋かけ密度の低いものほど大きく, 橋かけ余地に対する依存性を示すことが認められた。
  • 祖父江 寛, 松崎 啓, 右田 哲彦, 光多 豊, 村上 謙吉
    1964 年 21 巻 234 号 p. 606-612
    発行日: 1964/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ゴム網目構造中に新生する橋かけ部分の量を定量する手段として, 化学応力緩和における不連続緩和測定法につきいくらかの実験を試み, その測定方法, 理論に対して検討を加えた。不連続緩和の応力測定法として, ひずみ状態における新生橋かけ量を知り, また, 連続緩和曲線と不連続緩和曲線を同時に調べることのできる, 連続緩和不連続緩和同時測定法 (SMCIR法) を天然ゴムおよびEPRに適用し, さらにこの方法に必要な, 各時間における応力の短時間測定法を示唆した.
  • 藤井 恭一, 工藤 士郎
    1964 年 21 巻 234 号 p. 613-619
    発行日: 1964/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    クロトンアミドのアルカリ触媒による転移重合を検討した。触媒にt-BuOKまたはt-BuONaを用い, ピリジンまたはクロルベンゼン中で重合させると, ポリβ-アミノ酪酸 (還元比粘度約0.1) が比較的高収率で生成することがわかった。最初の反応は下記のごとく起こると考えられる。
    CH3CH=CHCONH2+t-BuOM--t-BuOH+CH3CH=CHCONHM
    ただしM: KまたはNa。その後, 転移重合が起こるので, 末端に二重結合をもつポリマーが生成する。ピリジン溶媒でt-BuOK触媒を用いたクロトンアミドの重合の反応速度式は次のごとく表わすことができる。
    In [モノマー] 0/[モノマー] =kc [触媒](時間)
    ただし [モノマー] 0: モノマー初濃度, kc: 反応速度定数。また見かけの活性化エネルギーは10.8kcal/molである。
  • 桜田 一郎, 坂口 康義, 吉田 周司
    1964 年 21 巻 234 号 p. 620-624
    発行日: 1964/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリビニルアルコール (PVA) および二三の低分子多価アルコール (1, 3-プロパンジオール・1, 3-ブタンジオール, およびペンタエリスリトール) を酸触媒 (塩酸・メタンスルホン酸, およびトルエンスルホン酸) を用いて, 水中で数種のアルデヒド (アセト-・プロピオン-, およびn-ブチルーアルデヒド) によりアセタール化し, 反応初速度に及ぼす食塩添加の影響を検討した。食塩 (0~0.7M) は一般に多価アルコールのアセタール化を促進し, この促進効果の順序はPVA>ペンタエリスリトール>1, 3-ブタンジオール>1, 3-プロパンジオールである。たとえば, 0.7M食塩を添加するとPVAの反応速度は約2倍に増加する。加速効果はPVAの場合には反応温度 (5~70℃) にほぼ無関係であるが, 他のアルコールの場合には反応温度の低下に伴って増大した。いずれのアルコールの場合も, 加速効果はアルコールの濃度 (水酸基として0.05~0.20M), 触媒の種類と濃度 (1/200および1/10N) にほぼ無関係である。同様な条件における酢酸エチルの加水分解は, 食塩の添加によってわずかに加速されるだけである。
  • 村橋 俊介, 野桜 俊一, 梅原 明, 小畑 和宏
    1964 年 21 巻 234 号 p. 625-631
    発行日: 1964/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    N-ビニル化合物の重合の一環として2-メチル-N-ビニルイミダゾール (MVI) および2-フエニル-N-ビニルイミダゾール (PVI) の重合, 共重合を行ない, モノマーの反応性より芳香族性窒素のビニル基に及ぼす影響を検討した。MVI, PVIはラジカル触媒で容易に重合し, 溶液中で高分子電解質としての挙動を示す白色重合体を与えるが, 典型的なアニオン, カチオン, チグラー重合触媒では重合しない。Stまたは, MMA (M1) とMVI (M2) との共重合よりそれぞれr1=8.97, r2=0.069, r1=3.48, r2=0.003を得, これよりQ2=0.15, e2=-1.61を得た。一方MMA (M1) とPVI (M2) との共重合よりr1=3.50, r0=0.006, Q2=0.34, e2=-1.58を得た。MVI, PVIの共重合パラメーターおよびUVスペクトルはモノマーにおいてビニル基とイミダゾールの窒素との間に主として次の共役があることを示すものである。
  • 束原 宏和, 林 晃一郎, 岡村 誠三
    1964 年 21 巻 234 号 p. 632-636
    発行日: 1964/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    高重合率重合における重合の異常性 (ゲル効果) に着目し, ゲル相におけるスチレンの放射線重合の動力学的研究を行なった。特に, モデルとしてγ線を照射して橋かけさせたポリスチレンをスチレンにて膨潤させた系を選んだ。ポリスチレン存在下のスチレンの放射線重合では, ラジカル濃度は非定常状態となり, ラジカル濃度が増大し, その結果, 重合速度および重合度が増大することがわかった。
  • 佐々木 勉, 林 晃一郎, 岡村 誠三
    1964 年 21 巻 234 号 p. 637-641
    発行日: 1964/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    木材セルロースをCo-60によるγ線照射および日本原子力研究所のJRR-I原子炉中で照射し, 重合度および銅価, 酸加水分解残渣量を測定した。同時に照射したポリメタクリル酸メチルの重合度の低下から定めた換算値を用いてγ線照射と原子炉内照射の影響を比較検討した。重合度低下に及ぼす影響には本質的な差は認められなかったが, 結晶領域に対する損傷は原子炉内照射の場合の方が影響は大であった。これは主として速中性子による効果と思われる。
  • 第3報 マレイン酸モノアルキルとスチレンの共重合
    野間 夬之, 丹羽 政三
    1964 年 21 巻 234 号 p. 642-646
    発行日: 1964/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    マレイン酸モノメチルまたはマレイン酸モノブチルとスチレンの共重合で得たコポリマーには無水マレイン酸基があり, その量は重合系のアルコール量が増加すると減少する。重合系のアルコール量はまたコポリマーのスチレンのモル分率や重合速度にも影響する。
  • 橋本 静信, 古川 功
    1964 年 21 巻 234 号 p. 647-651
    発行日: 1964/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ジアリルベンゼンホスホネート (DABP) と, メチルメタクリレート (MMA) およびスチレン (St) のモノマーの反応性比を70℃で測定し, それぞれMMA-DABP, r1=22.96, r2=0.135; St-DABP, r1=28.97, r2=0.027を得た。DABPのMMAおよびStとの共重合反応ではDABPモノマーの反応性比はきわめて小さいが, 他のアリル化合物に比べると多少大きい値を有する。コポリマーのベンゼン溶液粘度はモノマー組成中のDABP含有量の増加に従って減少する。赤外線吸収スペクトルからDABPモノマーは分子内で環を形成しているものと考えられる。
  • 川松 俊治, 三浦 正敏
    1964 年 21 巻 234 号 p. 652-656
    発行日: 1964/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    低密度および高密度ポリエチレンフィルムをオゾン酸化し, このものを用いてアクリロニトリルのグラフト重合を行なった。赤外吸収にカルボニル基の吸収がわずか現われる程度のごくわずかのオゾン処理により, グラフト重合は十分可能であることを知った。高密度のものは低密度のものよりグラフト量がかなり少ない。初期のグラフト重合速度の温度変化から求めた活性化エネルギーは, 高密度のものも低密度のものも大体等しく21~22kcal/molとなった。グラフト重合能は放置時間とともに徐々に減退してゆく。またホモポリマーの量はγ線酸化および熱酸化の場合に比べて著しく多い。
  • 門永 政雄, 上田 二士
    1964 年 21 巻 234 号 p. 657-665
    発行日: 1964/10/25
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンを塩化ビニルの気相中でγ線照射すると, グラフトポリマーが生成し, ホモポリマーの生成はわずかである。試料の厚さ, 線量率, 塩化ビニル蒸気圧, 反応温度などの合成条件とグラフト率との関係を求め, グラフト機構について考察した。すなわち, 1) グラフト初速度Vと線量率Iとの関係はV∝Ia であり, 線量率0.1~1.0×105r/hfの間で, αは0.8~0.9である。2) グラフト初速度Vと塩化ビニル蒸気圧Pとの関係はV∝Pβであり, ポリエチレンの種類, フィルムの厚さによってβは1.5~1.8である。3) クラフト初速度は0~60℃の反応温度範囲においては低い温度ほど大である。4) グラフト重合は主としてポリエチレンの非晶領域で行なわれ, 同一条件では低密度ポリェチレンは高密度ポリエチレンよりもグラフト率は高い。5) 試料の表面からの深さによるグラフトポリマーの濃度分布は複雑であり, 試料の種類, 反応条件などによって変わるが, 一般に最表面層ではグラフトは抑制され, 0.15mm以上の深部ではほとんどグラフトは行なわれない。
  • 1964 年 21 巻 234 号 p. 672
    発行日: 1964年
    公開日: 2010/10/14
    ジャーナル フリー
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