抄録
ほぼ完全な交互構造を持つ無水マレイン酸とアクリル酸メチル (-MA), メタクリル酸メチル (-MMA), アクリロニトリル (-AN), ビニルピロリドン (-VP), イソブチルビニルエーテル (-VE) との共重合物の水溶液を, カセイソーダにより電圧および電導度滴定した。pH値の順序は, 低中和度では-VE>-AN≒-VP≒-MA>-MMAであり, 高中和度では-VE>-MMA≒-VP>-MA>-ANであった。電導度の順序は, 低中和度では-MMA>-MA≒-VP=-AN>-VEであり, 高中和度では-VE>-MMA≒-VP>-MA>-ANであった。中和度の増加に伴って, -VPの水溶液の粘度は他の共重合物のそれよりも大きく上昇した。本結果および既報の結果から, 低中和度において-VEのpH値が高いのは, 主として同一分子中のビニルエーテル単位間の疎水性相互作用から生じる鎖のtighter coilingに基き, 高中和度において-VPなどのpH値が高いのは, 主として隣接コモノマーの剛直でかさ高い側鎖の立体効果によって, 同一無水マレイン酸単位中の2個のカルボキシル基がより近接していることに基くと考えられる。