1965 年 22 巻 243 号 p. 410-416
市販ポリプロピレン (分子量2.39×105, n-ヘプタン抽出残分98.5%) 溶融物の毛細管流動時における非ニュートン性と末端効果を検討した。高化式フローテスターを利用し, 形状の異なるダイ (L/R=2-30の8個のストレートダイ, テーパー角θ=5-90°の5個のテーパーダイ, L: ダイの長さ, R: ダイの半径) を用いた。ずり速度DN-ずり応力τap間には, DN=k'τapNapで表わされる指数則が成立する。ストレートダイの末端補正係数ν はBagley法およびその類似法で決定した。実験的にν∝1.30 log DNが成立する。ストレートダイでは見かけの非ニュートン性指数Napはダイの形状に依存するが, 末端補正をして求めた真のNは2.9±0.2でダイの形状に依存しない。テーパーダイの効果を定量化するためテーパーに原因する末端補正係数νTPを求めた。テーパー角θ=20°でテーパーダイのエネルギー損失は最小を示した。Spiral流れが生ずる臨界ずり応力τcは末端補正をすると, ストレートダイでは一定 (1.1×106dyne/cm2) となった。テーパーダイの臨界ずり応力はテーパー角に依存しθ=20°で最大となった。Bagleyのずり弾性率決定法はポリプロピレンでは適用できない。