抄録
本報では, ポリエチレンオキサイド (PEO) を試料とし, 鎖軸方向の結晶弾性率 (Eι) を測定し, 次の結果を得た。
PEO: Eι=10×104kg/cm2 (21±1℃)
この値は榎本らにより報告されたPEOに対するEιの理論的な計算値 (4.6~4.9) ×104kg/cm2のほぼ2倍の大きさである。しかし, 最近, 田所らにより報告されたPEOの分子構造, ならびに力の定数を用い榎本らの計算方法に従うとPEOのEι値として (7.8~9.2) ×104kg/cm2の値が得られる。これは実測値にかなりよく一致する。ポリエーテルに関する現在までの実測結果を比較するとPEOのEι値は最も小さく, ポリオキシメチレンの値の1/5.4である。またメチレン基の増加による分子構造の変化とEl値との関係について明らかにした。