1966 年 23 巻 259 号 p. 785-791
繊維軸方向の伸張応力によるポリエチレン結晶の微小変形を異なった熱履歴をもつ5種の試料についてX線法で測定した。測定は応力の方向および応力と直角方向, すなわち, (002), (020), (310) について行なった。格子の非可逆変形は比較的小さい応力で生じ, 応力の増加とともに著しくなる。この非可逆的ひずみはa, c軸の収縮, b軸の拡大よりなるが, b軸が最も顕著であり, c軸で最も小さい。しかしながら, 高い応力域ではc軸においてもこの非可逆ひずみは無視することはできない。この特徴的な非可逆変形のために, 応力下で観測される面間隔の変化は異常なものとなる。しかし, 前に加えられた応力によってこの非可逆ひずみが生じた後では, 格子は正規の変形を行なう。この方法によって決められたポアソン比は著しく高く, また試料の熱処理条件によって変化し, 一定ではない。