高分子化學
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〔111〕放射線によるポリエチレン単結晶累積膜へのスチレングラフト共重合
高松 俊昭古永 捷慶深田 栄一
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1967 年 24 巻 272 号 p. 795-800

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抄録

キシレンの希薄溶液より種々の温度で結晶化したポリエチレン単結晶累積膜, および, これらを温度を変えて熱処理したものを液態のスチレンに漬け, 室温でγ線を照射してグラフト重合反応を行なった。これら累積膜の長周期, および, 密度の値は, 結晶化温度や熱処理温度の高いほど大きくなる。スチレン吸収平衡量は, 結晶化温度の上昇に伴い, しだいに増加する。しかし, 100℃以下の温度で熱処理したものは, 熱処理温度の上昇につれてしだいに減少し, 100℃以上でほぼ一定値に近づく。
グラフト効率は, 結晶化温度の高い方が小さい値を示す。これに対して, 熱処理した場合は, 温度が約90℃以下のとき, 温度によらず, ほぼ一定である。しかし, 90℃以上になると, 温度の上昇につれて急に低下し始め, 115℃以上では, ほぼ一定値になる。これらの結果から, グラフト反応が試料の全体としての結晶化度に依存するのみならず, 単結晶の形や厚さ, および, その積み重なりの状態にも依存することが見出された。グラフト重合が主として単結晶の表面で起こることが結論される。

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