高分子化學
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高分子電解質存在下でのメタクリル酸メチルの水媒体重合におけるゲル化
松本 恒隆松尾 誠
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1968 年 25 巻 283 号 p. 749-755

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抄録

高分子酸存在下でのメタクリル酸メチル (MMA) 水媒体重合において, ポリメタクリル酸 (PMAA) では得られたエマルジョン溶液がゲル化したが, ポリアクリル酸 (PAA) ではゲル化しなかった。そこで, このゲル化機構について検討し, 次の結果を得た。1) ゲル化は非常に低いMMAおよびPMAAの濃度で起こった。2) 重合の進行とともに, PMAAは生成エマルジョン粒子内, 特に粒子表面付近へしだいに移行し, ゲル化点ではほとんど移行した。この粒子表面上のPMAAは, 高分子電解質としてはゲル化に関与しなかった。3) ゲル化直前では, 未重合MMAは粒子内よりもむしろ水相に多量存在した。4) ゲル化物はアルカリ添加によって再分散し, ゲル化物中のPMAAはメタノールによってほとんど抽出された。以上の結果から, 水相ならびに粒子表面付近に存在するPMAAが, MMAと水とを吸着固定化し, 粒子を蜂巣状に弱く橋渡しすることによって, 溶液全体の流動性をなくしてゲル化させることを明らかにした。

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